小林賢二のしごと

風の詩
2013年06月17日

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日照条件、耐荷重制限により土や植物を使った庭を提供できない高層マンションの中庭で、植物を使わずに自然の光や風や潤いややすらぎを感じられるような空間のつくりかたを模索し悩みながら、脳裏に浮かんできたイメージがあります。
泰山木(タイサンボク)という木があります。ハクモクレンやオオヤマレンゲと同じモクレン科の仲間で、白い大きな香りのよい花を咲かせます。その純白の花びらには、肉厚も感じられるような立体的美があり、球形に近い愛らしい造形です。
この花びらをモチーフにした白御影石の石彫を、人が座れるようなスケールで5基、庭に3枚、ホワイエに2枚、散らします。
風が運んだ花びら、あるいは風で飛ばされそうなその瞬間の風景です。
タイサンボクの花びらそのものにはしませんので、それがモチーフであることに気がつく人はほとんどいらっしゃらないだろうと思いますが、地面に球形で接して浮かぶ白い石の浮遊感、白い光、詩的な風景が、いつもここを通る住まい人に清々しい感情を湧き起こすような作品を目指しています。
   
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東京都江東区
Park Axis 豊洲:401戸の集合住宅 | 中庭デザイン監修・アートワーク制作設置
白御影石、那智黒石、黒御影石、他
2008

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