kobayashi kenji atelier
フジバカマ

2004.11.09 フジバカマ

もしも山上憶良が秋の七草にフジバカマをいれなかったら・・・もしも「源氏物語」や「徒然草」に登場していなかったら・・・もしも香りがなかったら、薬効がなかったら・・・野生のフジバカマが絶滅の危機に瀕することもなかったのでは、と「もしもシリーズ・第二弾」で考えていたが、衰退の原因は植物好きによる乱獲よりも、自生地の河川開発や護岸工事によるところのほうがはるかに大きいのだろう。
一見雑草といっしょに抜かれてしまいそうな地味な姿で、長期的なイメージ戦略(誰の?!)によりその美観は過大評価されているような気がするところもあるが、フジバカマの風姿にはやはり日本人の心にしみこむ独特の優雅さがある。風流である。秋がある。

中国からの帰化植物らしいので、薬用や観賞用にしていたものが増えすぎて土手や河原に植えたのが野生化したのだろう。幸いフジバカマは株分けでも挿し木でも簡単に増える。また川辺に植えてあげればいい話しなのだが、乾いてしまった土壌にフジバカマは育たない。コンクリート護岸にフジバカマが似合わない。