小林賢二のしごと

朝日を待つ庭
2014年09月24日

8年ほど前に施した借家の狭い路地庭の改修。この夏に南の隣家との目隠し目的にヨシズを立てて、あたたかみが加わった朝の風景です。
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40cm幅のコンクリートの縁と、ブロック塀との狭間90cmの地面、足しても130cm幅で、長さ5mほどの細長い間。年期の入ったモミジとオトメツバキと、恐らく建て増しで隅に追いやられたアセビとネズミモチの品種ものとユズが生えてました。ネズミモチ類をすこし横移動して剪定して、アセビを半分以下の低さに仕立て直して程よい透きを作って、石と草花を加えます。
手のひらに納まるほどの小さな水鉢をこの庭のために制作し、小さな石ころを飛石風に数日迷いながら並べて、細かい砕石砂利を余白に敷いて仕上げています。全ての要素を小さくしたことで、眺めれば広がりも奥深さも感じられる空間になりました。人が立ち入れば庭が見えなくなるような、小さな世界です。
東側の狭い隙間から朝日が射す数十分、この庭は殊更に輝きます。
南の隣家が接近し、日中は日陰になりますが、路地を覆うようにモミジの枝葉があり、また高中木の根が狭い土中に張っているため、とても乾燥した小さな大地です。こんな庭環境が都市の住空間では案外多いです。
乾燥に耐えたセキショウやトクサやヤブコウジが然程増える事もなく微かに生き残っている状況ですが、無理をして植栽していない分、自然に落ち着いた風景として映りました。
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