小林賢二のしごと

香り待つ石
2013年06月17日

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植物の「香り」をランドスケープのテーマに据えた集合住宅の中庭。
3月。香りの良い白花を咲かせるシロバナジンチョウゲの袂に、座って休むこともできる石彫を添えました。

春は花と香りを楽しめる特等席となり、そして、花が終わったあとの不在の風景に、ここに座って花と香りを楽しんだ記憶を甦らせたり、翌年の花を待つ時間・循環的な時間を想起させることを意図しています。
石彫の平面形状は、ジンチョウゲの葉の形をモチーフにして、立体的には、ここから街の隅々に香りの知らせを運んでいくような舟の形をイメージしました。ベンチを兼ねたアートワークが動きとリズムをつくりだし、憩いのスペースを生き生きと演出します。
快い花の香りや色彩には、人々の心と身体をリラックスさせたり精神を明るく高揚させる効果があります。「香り待つ石」は、そんな癒しの植物との関わりを緊密にする契機をつくりだすことでしょう。
   
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神奈川県横浜市
パークスクエア三ツ沢公園 | ランドスケープデザイン監修・環境彫刻制作設置
桜御影石、 黒御影石、 伊勢ゴロタ、 土、 草木
2003

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