小林賢二のしごと

石の彫刻で風景を刷新

循環ー根上がり松
2013年06月17日

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明石海峡大橋を背景に、青い海と緑の松林が映える舞子公園は、古来より白砂青松の舞子の浜として詩歌にも詠まれ多くの人に親しまれてきました。なかでも永年の風波により地盤が浸食され根が地表にあらわれた老松は「根上がり松」と称され舞子の景観の代表でありましたが現在は残っていません。
根上がり松再生の試みは、周辺地域の人々と一緒に昔の松林にあった「根上がり松」を長い年月をかけて造っていこうとするものです。そして、この50〜100年を要する再生事業をはじめるにあたって、事業のシンボルとしての環境彫刻を設置し、松の苗木が成長していく未来への時間と空間と共生とに深く関わるコミュニティー環境の創出を目指すものです。
   
万物が大地から生まれ再び大地に還る。
無限に続く自然の循環をモチーフとして、やがてそびえ立つ「根上がり松」とは対比的に大地を撫でるような彫刻を計画します。波や風を想起させる形態は舞子の景観にも違和感なく溶け込み、根上がり松が再生する一〇〇年後には、松を眺める特等席にもなることを意図しています。
それぞれの石の表面には松の影像を薄く刻んでいます。月日は流れ、石に刻まれた影像は風雨にさらされ徐々に色褪せていくことでしょう。そして、再生される松の苗木は成長し、大地に据えられた彫刻は「根上がり松」を眺めるステージへと変化していき景観の主役を松林に譲ります。
   
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兵庫県神戸市
県立舞子公園南地区芝生広場 | アートワーク制作・設置
白御影石、土、草木
2006

photo_Forward Stroke Inc.

風の詩
2013年06月17日

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日照条件、耐荷重制限により土や植物を使った庭を提供できない高層マンションの中庭で、植物を使わずに自然の光や風や潤いややすらぎを感じられるような空間のつくりかたを模索し悩みながら、脳裏に浮かんできたイメージがあります。
泰山木(タイサンボク)という木があります。ハクモクレンやオオヤマレンゲと同じモクレン科の仲間で、白い大きな香りのよい花を咲かせます。その純白の花びらには、肉厚も感じられるような立体的美があり、球形に近い愛らしい造形です。
この花びらをモチーフにした白御影石の石彫を、人が座れるようなスケールで5基、庭に3枚、ホワイエに2枚、散らします。
風が運んだ花びら、あるいは風で飛ばされそうなその瞬間の風景です。
タイサンボクの花びらそのものにはしませんので、それがモチーフであることに気がつく人はほとんどいらっしゃらないだろうと思いますが、地面に球形で接して浮かぶ白い石の浮遊感、白い光、詩的な風景が、いつもここを通る住まい人に清々しい感情を湧き起こすような作品を目指しています。
   
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東京都江東区
Park Axis 豊洲:401戸の集合住宅 | 中庭デザイン監修・アートワーク制作設置
白御影石、那智黒石、黒御影石、他
2008

Power of Birth
2013年06月17日

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日本一の富士山の麓、自然豊かな御殿場の大地に新しく生まれる交流センター。
日本一の景観を眺める大らかな芝生の広がりの中に、小さな子供から老人までの多くの市民に親しまれ、自然にみんなが集い交流の契機を生みだせるような、ここから何かが生まれ出るような、やさしい光に包まれた造形空間を創出します。
空に向かって伸びやかに成長する木々、光の中にゆらめく枝葉、風に舞う清楚な白い花びら、たおやかに流れる雲・・・背景にそびえる雄大な山と緑豊かな自然の情景を思い浮かべながら生みだされた造形です。
四季折々、日々刻々と変容するまばゆい陽光を映し、やわらかく変化ある様々な表情を見せるシンボル彫刻。そこから生みだされたかのような様子で、大地にかろやかに浮かぶ白い雲、花たちが集い、たのしそうに戯れます。白く輝く光のうまれる詩的な風景が、御殿場で暮らす人々に心地よい集いと憩いの場を与え、清々しい気持ちで豊かな時間を過ごす事のできる空間をつくります。
この作品は、ここでたくさんの人々とのふれあいを待っています。
   
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静岡県御殿場市
御殿場市民交流センター | 環境彫刻
白御影石、 土、 富士芝
2008

photo_Forward Stroke Inc.

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