小林賢二のしごと

千草の庭
2013年06月16日

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photo_Forward Stroke Inc.

    

アプローチの小道が周囲をめぐり、緑陰パーキングの木立に守られるようにかたちづくられた空間は、日本海と山深い信州とを結ぶ、待ち望まれた上信越自動車道の全通を祝し、象徴的にしつらえた「庭」です。
連なる千草石の磨かれた鏡面が、陽光のもと輝きを放ち、あたかも一筋の道を光でしるすように、この空間をゆるやかに横断しています。新潟—長野—群馬の山並みに沿って、ユキツバキの映える新潟からシラカバの明るい林を抜けてレンゲツツジのもえる山まで。上信越自動車道の完成した姿をこの「光の道」に見立て、重ね合わせました。
この庭は、地元の新潟県新井市にだけ産する銘石・千草石で構成されていることから「千草の庭」と名付けました。
「千草」にはまた、「いろいろの草」という意味もあります。雪景色の中から芽吹き、サクラやツツジの鮮やかな花々に彩られる春を迎え、夏から秋へ、千草石の足元では草花が次々に清楚な花を咲かせ、ほっと一息つく旅人に四季折々の箱庭の景を見せてくれます。
   
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新潟県新井市
上信越自動車道全通記念庭園 | 庭園デザイン・記念碑制作設置
千草石、いわき桜御影石、土、草木
1999

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