小田原城址西方の丘陵地中腹にある「古稀庵」
訪ねたのは、近くに現場の用があったのと、せせらぎが敷地内にある軽井沢で計画中の庭づくりの参考になりそうだと思いたったから。
山縣有朋晩年の住処(の庭)で、目白椿山荘、京都無鄰菴とともに、近代日本庭園の傑作ともいわれるそうです。
高低差14.9mある敷地内を上段、中段、下段の庭で構成して、滝組と流れで変化ある自然な景観がつくられています。
冬枯れの季節で、今回の目的が流れの評価だったこともあり、足元ばかり見て歩いてしまいましたが、印象は作為を感じない爽やかな小川です。
名勝、景勝を再現して見せ場を各所に作って回遊するような庭園とは違い、あくまで自然な風景を作りだすことに心血が注がれた庭、というところで訪ねた価値がありました。
復元された新しそうな茅葺きの門から入ります。
見上げればモミやスギやヒノキ等の針葉樹がそそり立ち、ケヤキやモミジやヤマザクラ等が春を待っていました。
新緑の頃も紅葉の秋も、さぞかし美しそう。
人気の少ない古稀庵から移動した小田原城は凄い人混みでした。
このコントラストも、いい体験です。
兼六園を訪ねたのは、大学4年の建築実習で金沢に来て以来たしか2度目です。
雪吊りと灯籠以外にさしたる記憶がないのは、庭や植物にあまり興味のなかった建築学生だったから。ということで間違いありません。
金沢駅からのバスを降りて、桜ヶ岡口というところから何の下調べもなく歩き始めると、逆光に輝く老木を包み込みながら広がる苔庭の美しさに目を奪われます。
しかしてそれは、大変な労力によって保たれている様子をすぐに見せられて、、
癒されるような庭の姿とは違うのですが、多くの人に非日常を感じさせる「特別名勝」の日本庭園の姿ではありました。
園内中央に位置する大きな霞が池には程よいスケール感の見所も散りばめられて、たしかに回遊しながら移り変わる景色を楽しめる広大な庭がつくられています。
東にある山崎山と辰巳用水の辺りは紅葉が美しそうな一帯。
ここから流れ出る水が曲水となって庭をめぐりながら霞が池に注がれる、ということのようです。
足元の石を追っかけて歩くのが私の癖です。
石の趣向は2年前に歩いた岡山後楽園の方が優っていたような気がしますが、いくつかの惹かれた景色をメモがわりに撮ってきました。
昨日は白金台で余時間が生まれて、おそらく30年ぶりぐらいか、庭園美術館に入りました。
美術館に向かう道のりから、程よい手入れの良さが感じられます。
興味があったのは芝庭の手入れ具合、
朝香宮邸時代(昭和初期)から引き継がれた芝庭と、ガーデンファニチャーがたくさん置かれた西洋庭園、
どちらも開放された芝生広場で、たくさんの人たちがくつろいでいました。
高木の日陰になるところや、人が踏み荒らすファニチャーの周りは芝は育っていませんが、おそらく雑草も含めて刈り込みをこまめに行なっているため総体的にキレイな風景が保たれています。
芝の庭の提案に際して、いろいろ参考になるところがありました。
開館40周年記念ということで年末に向けてイベントもあるようです。
今は「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」という会期中で、
館の最上部に設けられたウインターガーデンという屋内の小さな“園”も公開されていました。
「Winter Garden」とは、元々冬の寒さが厳しい北欧や北米において、冬季の植物の生育の場として発展した室内庭園のことを指すそうです。