小林賢二のしごと

庭紀行

こもれびの里
2017年08月29日


昭和記念公園の中に「こもれびの里」という施設があります。
「水田や丘陵畑、農家と屋敷林など、昭和30年代の武蔵野の原風景やそこでの暮らしを再現しています」というエリア。
私が生まれる直前ぐらいまでの、高度経済成長期に入る前の武蔵野の暮らし、ということでしょうか。キレイに整備されているせいか、実際の生活をイメージできないせいか、なんとも贅沢な生活空間に映ります。ゆとりを感じます。
一般の方から譲り受けた古民家を移築、復元しているそうです。
藁葺き屋根の深い庇の下に並べられた薪と、なんてことない丸太のエッジと、川砂利の雨落ちと、川石の縁と、
素材という言葉を使いたくないような、味わいのある、愛おしく美しい風景に出会いました。
夏休みのようだった半日、一番の収穫です。
   

昭和記念公園
2017年08月29日


立川にある国営昭和記念公園。久々に中に入りました。有料なのが難ですが、自転車を持ち込むと、悠々と快適な時間が過せます。
近くにあって有り難い広大な緑地で、みどりの強さを感じることができます。小さな庭やアートシーンに、ほっと一息つくような時間を求めながら、こういった大きな息のつける時間と場所が心をリフレッシュしてくれる事、夏の終りに訪ねて改めて感じました。
   
久々の目的は、日本庭園の雰囲気を味わいに。
私が国立に来てから出来た比較的新しい施設ですが、もう20年ぐらいは経っています。
平衡感覚の美しい大らかな「池泉回遊式庭園」、岬のアカマツがこの上なく、威張ってました。

明治神宮 百年の杜
2017年07月06日


梅雨の合間、数年ぶりの表参道を歩いて、二十数年ぶりの明治神宮を歩いてきました。
森と道と人のスケールの関係が、都市生活者にとっては非日常の深いやすらぎに包まれるような風景に映ります。
創建当時の首相大隈重信が、伊勢神宮や日光の杉並木のような荘厳な針葉樹の美林にすべきだと主張する中、当時の林苑関係者が百年先の姿を見通し、椎・樫などの照葉樹でなければ育たないと大隈首相を説得しました。
乾燥した関東ローム層では杉は充分に育たない。常緑広葉樹でなければ東京に永続する森は造れない。
大隈の言う通りに杉の森にしていたら、貧相な森になっていたのでしょう。

植物と付合うと、気長に待つ事が平気になってきます。それは私も日頃体験していますが、百年後を念頭に置く姿勢と時間の感覚は見習わないと、と思いながら書いています。
   
明治神宮を歩いたのは、武蔵野の面影を残す自然林で、笹が茂りアオキやヤツデやツバキ等の常緑低木が芽吹き雑草が顔を出す林床を、どの程度の管理で維持しているか確かめたかったから。表参道を歩いたのは、元インテリアデザイナーだった若い頃を思い出して郷愁に浸りたかったから。?
明治神宮御苑は花菖蒲の見頃が過ぎて、穏やかな空気が流れていました。
藁葺きの四阿が、なんともいえない可愛いく朗らかな佇まいです。


スイレンが咲いています。

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